ワクチン先行の英国とイスラエル 行動制限の撤廃後も広がる懸念

政府は9日、新型コロナウイルス感染症の流行地域での行動制限を緩和する方針をまとめた。ワクチン接種を条件に「日常生活回復に向けた考え方」を示したものの、海外の例から緩和は感染拡大につながりかねず、異論も相次ぐ。

「接種証明」半年後無効に

 「我々は、責任と熟慮を持って(新型コロナウイルスに)対応しなければならない」。イスラエルのホロビッツ保健相は6日、屋内での私的な集まりを50人以下に制限するなど、6月以降では最も厳しい行動制限を発表し、国民に理解を求めた。

 イスラエルでは5月下旬、人口約933万人の半数以上が米ファイザー社製の新型コロナワクチンの2回接種を終え、1日の新規感染者数を一度は30人以下に抑え込んだ。6月中旬には全ての行動制限を撤廃したが、その後、インド由来の変異株「デルタ株」が拡大し、状況が変わった。

 新規感染者数は9月2日に過去最高の1万1328人に達し、英オックスフォード大の研究者らが運営する「アワー・ワールド・イン・データ」によると、100万人当たりの新規感染者数は世界4位(8日現在)の水準を推移。ワクチン接種を2回受けた人が、感染者の3割以上を占める。